在宅薬剤師の知識。外用剤の特性に基づいた褥瘡治療における薬剤選択方法

在宅/居宅/地域連携

こんにちは ねこの静六です

今回は褥瘡治療の薬剤選択について書きたいと思います。居宅療養管理指導を行っていると褥瘡の治療薬について医師から尋ねられる事も多いと思います。私が在宅医療で医師から薬を相談されたときにスムーズに提案できるように作成したものです。参考になれば幸いです。

なお、発売中止になった製品は取り消し線で表現しています。過去にどんな薬があったのかわかるかなと思います。

外用剤は薬効成分も重要ですが、皮膚の水分量をコントロールする基剤がとても重要な役割を果たします。皮膚科の医師が基剤にこだわられる理由の一つです。

1.急性期褥瘡における外用剤選択

褥瘡発生から約1~3週間は急性期と呼ばれ局所状態が不安定な事が多いため慢性期褥瘡とは区別する。

急性期では湿潤環境を保ち創面を保護する事が基本とされ以下の様な薬剤で湿潤・保護を行う。

  • 白色ワセリン
  • アズノール
  • 亜鉛化軟膏(上の2種類に比べると傷を乾燥させるように働く)

感染を合併している場合

  • ゲーベンクリーム(非特異性抗菌活性を有し、水分含有率も高い)

褥瘡初期の発赤に対して、医師の指示としてアズノール等の外用剤を塗布といった指示が出ている場面に出くわすことがありますが、褥瘡の研修会や学術大会に参加しているとわかりますが、褥瘡の治療は外用剤+ドレッシング剤が基本の治療です。発赤の場合はアズノールなどを塗布してその上から例えば3M のテガダーム スムース フィルムロールなどのフィルム剤で皮膚被覆します。

ポリウレタンフィルム剤は3Mやニチバンなど色々とメーカーがあります。点滴の針の固定や、風呂の時の皮膚保護など色々な用途があります。医療や介護の現場では必須のアイテムなので褥瘡に関わらず知っておくと良いと思います。

2.深い褥瘡の場合

壊死組織を除去(N)→肉芽形成を促進(G)→創の縮小(S)の順番で治療を行う その他、浸出液(E)、炎症/感染(I)、ポケット(P)についても同時に対策を考える

日本褥瘡学会編集:褥瘡予防・管理ガイドライン:96, 2009

(1)壊死組織を除去するには(N→n)

浸出液など創面水分量を考慮した上で壊死組織除去小作用を有する以下の薬剤を用いる。

1.(浸出液が少ない)3.(浸出液多い)の順番

  1. 水分含有率の高い乳剤性基剤:水中油型〔ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)〕
  2. 水溶性基剤マクロゴール〔ブロメライン軟膏(ブロメライン)〕
  3. 水溶性基剤マクロゴール+ポリマービーズ〔デブリサン(デキストラノマー)、カデックス軟膏(カデキソマーヨウ素)〕
  • 粉末製剤〔エレース(フィブリノリジン・デオキシリボヌクレオアーゼ配合剤)
  • 粉末製剤〔フランセチン・T・パウダー(硫酸フラジオマイシン・トリプシン)〕

(2)肉芽形成を促進するには(G→g)

浸出液など創面水分量を考慮した上で肉芽形成促進作用を有する以下の薬剤を用いる。

1.(浸出液が少ない)5.(浸出液多い)の順番

  1. 水分含有率の高い乳剤性基剤:水中油型〔オルセノン軟膏(トレチノイントコフェリル)〕
  2. 水分含有率の低い乳剤性基剤:油中水型〔リフラップ軟膏、リフラップシート、レフトーゼ貼付剤(塩化リゾチーム)、ソルコセリル軟膏(幼牛血液抽出物)〕
  3. 油脂性基剤プラスチベース〔プロスタンディン軟膏(プロスタグランジンE)〕
  4. 水分含有率の高いハイドロゲル〔ソフレットゲル(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)、ソルコセリルゼリー(幼牛血液抽出物)
  5. 水溶性基剤マクロゴール〔アクトシン軟膏(ブクラデシン)、アラントロックス軟膏、アルキサ軟膏(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)〕
  • 液状スプレー剤〔フィブラストスプレー(トラフェルミン)〕
  • 粉末製剤〔イサロパン(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)

(3)創を縮小するには(S→s)

浸出液など創面水分を考慮した上で創の縮小作用を有する以下の薬剤を用いる。

1.(浸出液が少ない)4.(浸出液多い)の順番

  1. 脂性基剤ワセリン〔ハスレン軟膏(アズレン)亜鉛華軟膏、亜鉛華単軟膏、イサロパン、サトウザルベ、サトウザルベ10、(酸化亜鉛)〕
  2. 油脂性基剤プラスチベース〔プロスタンディン軟膏(プロスタグランジンE)〕
  3. 水分含有率の高いハイドロゲル〔ソフレットゲル(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)ソルコセリルゼリー(幼牛血液抽出物)
  4. 水溶性基剤マクロゴール〔アクトシン軟膏(ブクラデシン)、アラントロックス軟膏、アルキサ軟膏(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)〕
  • 粉末製剤〔イサロパン(アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート)
  • 液状スプレー剤〔フィブラストスプレー(トラフェルミン)〕

(4)感染を制御するために(I→i)

浸出液など創面水分を考慮した上で感染抑制作用を有する以下の薬剤を用いる。

1.(浸出液が少ない)6.(浸出液多い)の順番

  1. 水分含有率の高い乳剤性基剤:水中油型〔ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)〕
  2. 水溶性基剤マクロゴール〔イソジンゲル、ネオヨジンゲル、ネグミンゲル(ポピドンヨード)〕
  3. 粉末製剤〔フランセチン・T・パウダー(硫酸フラジオマイシン・トリプシン)〕
  4. 水溶性基剤マクロゴール+白糖〔ユーパスタ、スクロードパスタ(ポピドンヨードシュガー)〕
  5. 水溶性基剤マクロゴール+ポリマービーズ〔デブリサン(デキストラノマー)、カデックス軟膏(カデキソマーヨウ素)〕
  6. 粉末製剤〔カデックス、デクラート(カデキソマーヨウ素)〕

(5)浸出液を吸収するために(E→e)

浸出液量など創面水分を考慮した上で浸出液吸収作用を有する以下の薬剤を用いる。

  • 水溶性基剤マクロゴール〔イソジンゲル、ネオヨジンゲル、ネグミンゲル(ポピドンヨード)〕
  • 水溶性基剤マクロゴール+ポリマービーズ〔デブリサン(デキストラノマー)、カデックス軟膏(カデキソマーヨウ素)〕

(6)ポケットをなくすために(P→-)

ポケットを消失させるために創内の壊死組織の清浄化、浸出液の抑制、肉芽形成などの条件が整っていることが必要であり、以下の薬剤を用いる。

1.(浸出液が少ない)2.(浸出液多い)の順番

  1. 水分含有率の高い乳剤性基剤:水中油型〔オルセノン軟膏(トレチノイントコフェリル)〕
  2. 水溶性基剤マクロゴール+白糖〔ユーパスタ、スクロードパスタ(ポピドンヨードシュガー)〕
  • 液状スプレー剤〔フィブラストスプレー(トラフェルミン)〕

2020年にDESIGN-Rが改定されました。

日本褥瘡学会が2002年に褥瘡の重症度を分類と治癒過程を数量化することを目的に開発した評価スケールDESIGNは進化を続け、DESIGN-Rとなって2020年で4回目の改定だそうです。2020年の改定内容が無料で公開されているのでリンクを貼っています。評価方法を図や写真で解説してあるのでとても役立ちます。機会があれば褥瘡学会や薬剤師会主催の褥瘡の研修に参加するのも良いと思います。

「改定DESIGN-R®2020コンセンサス・ドキュメント」(10ページ過ぎたあたりから褥瘡の画像が時々掲載されています)

DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用(評価表のみです)

今日もありがとうございました。

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