在宅薬剤師の知識。褥瘡治療は基剤が重要!基剤から見た皮膚に対するアプローチ

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こんにちは ねこの静六です。

デルモベート軟膏0.05%、アンテベート軟膏0.05%、プロスタンディン軟膏0.003%などいあらゆる外用剤はありますが、%の数値を見ると、薬効成分はほんのわずかしか入っていない事がわかります。外用剤中身の大半はワセリンや、ラノリン等の直接的に疾患を治す薬効を持たない基剤とよばれるもので構成されています。しかしこの基剤が皮膚治療特に褥瘡治療にとっては重要になります。今日はそんな外用剤の基剤について書きたいと思います。

外用剤の基剤に基づく分類

基剤の皮膚に対して期待される効果は皮膚を適正な水分量に保ちスキンコンディションを保つ事にあります。乾燥しすぎても、潤い過ぎても治りません。

褥瘡回診に参加して、乾燥している褥瘡は壊死組織が分解しにくかったり、過度な湿潤環境が肉芽も溶かすような状態でなかなな治らない場面を何度も見させてもらいました。

以下に基剤分類別で主な製品と基剤の役割を載せました。

基剤分類の上から下にかけて皮膚に潤いを与える物(補水)➡皮膚の潤いを取るもの(吸水)の順で書いています。

基剤分類基剤の種類主な製品名基剤としての役割
乳剤性基剤
水中油型(O/W型)
多種に渡る基剤を
混ぜる。
オルセノン
軟膏
ゲーベン
クリーム
ヒルドイド
クリーム
油中水型(W/O型)と比べて水分を多く含むため
水分の供給作用が強く皮膚を覆う事による保湿作用は少なめ
乳剤性基剤
油中水型(W/O型)
多種に渡る基剤を
混ぜる。
リフラップ
軟膏
ソルコセリル軟膏
ヒルドイドソフト軟膏
水中油型(O/W型)と比べて
油性分を多く含むため皮膚を覆う事による保湿
作用が強く水分供給作用は少なめ
油脂性基剤
(疎水性基剤)
ワセリン
精製ラノリン
プラスチベース
蜜蝋
流動パラフィン
亜鉛華軟膏
アズノール軟膏
プロスタンディン軟膏
プロペト
皮膚を覆い保湿する
水分の供給は基本的にない
水溶性基剤マクロゴールアクトシン軟膏
ブロメライン軟膏
マクロゴールは医療用ポリエチレングリコールの事
300、400、4000など平均分子量の違いがあるが、
平均分子量が小さい方が水に溶ける力が強い=吸水力がある。
皮膚の水分を吸水(乾かす)作用がある
水溶性基剤マクロゴール+白糖
ユーパスタ軟膏
(水分吸収率76%)
ここからが本格的に皮膚の水分を吸収させるために使う基剤
白糖は皮膚の水分を吸って溶けるため吸水作用を示す。
マグロゴールは先ほどと同じ
水溶性基剤マクロゴール+ビーズデブリサンペースト
水分吸収率(300%)

カデックス軟膏
水分吸収率
370%)
他にもカデックス散等もある
マクロゴールに吸水力の強いビーズが入った製品
デブリサンは基剤のみの製品なので高度医療機器
カデックスは殺菌剤ヨウ素を含むため医薬品

基剤と薬効を掛け合わせた薬剤選択を提案しよう!

薬剤師が在宅に参加するようになるとどうしても褥瘡に対する知識が必要になってきます。

出来るだけ

  • 耐圧分散
  • 栄養(たんぱく質や亜鉛)

と言った基本の所を大事にして予防したいですが、それでも褥瘡になってしまう事があります。

そんな時に良い提案が出来るのが薬剤師だと思います。

何か少しでもお役に立てれれば幸いです。

今日もありがとうございました。

こちらは在宅に関わる薬剤師として薬学以外の知識で是非知っておきたい基本が書かれた書籍です。とても古い本で中古で200円位です。これを読めばバッチリと言うわけでは無いですがどういった事を知っておくべきかという事がよく見えてくる大変優れた本です。未だに人の紹介しています。

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