医療安全情報。2021年3月~7月公開の薬局ヒヤリ・ハット事例と薬局IT化情報を紹介

薬剤/医療安全/介護診療報酬

こんにちは ねこの静六です。

今回は公益財団法人日本医療機能評価機構の2021年3月~7月間のヒヤリ・ハット事例から気になった事例を紹介したいと思います。全体的にはジェネリックに関するヒヤリ・ハットがかなり増えてきている印象です。昨年来のジェネリックの自主回収、供給調整など、流通の危機的状況による影響はかなり大きそうです。

では紹介します。

オロパタジン5mg「サンド」と「サワイ」を混在して渡してしまう。

事例の詳細
オロパタジン5mgサンドのなかに6錠サワイの分が混在
背景・要因
GEの品薄があり店舗に複数のメーカーが取り扱う状況になっており、切り替えもあり棚の混在が発生。
薬局における改善策
全従業員へ随時取り扱いメーカーの周知、卸への確保できるメーカーの情報収集
公益財団法人日本医療機能評価機構ヒヤリ・ハット事例収集事業より引用

原文のまま引用

オロパタジンは特に入手困難になった薬の一つでもあります。メーカー違いで副作用が発生したと訴えてこられる患者様もいらっしゃいます。供給面に関しては薬剤師側でなかなかどうにもできない点なので、監査支援システムなどを導入して対応したいです。下のリンクは色々な監査支援システムがまとめて載っているメーカーのHPです。かなり参考になります。

退院後の処方にインスリンの処方漏れ

事例の詳細
入院時以前から注射は使用。他院後も処方される予定だったが処方箋に記載なく、退院直後の病院からの処方にも記載なかった。後に病院担当者から注射が処方されていないことに気付き連絡があり追加になった。
背景・要因
退院後サマリーに記載されるはずだがいつもと異なる箇所に記載され、今回の処方で調剤されるべきだったのかわからなかった。退院後サマリーの扱いがまだ熟知できていなかった。
薬局における改善策
退院後サマリーは必ず目を通すことにしている。
公益財団法人日本医療機能評価機構ヒヤリ・ハット事例収集事業より引用

原文のまま引用

居宅療養管理指導を行っているとこういった事例によく遭遇します。入院前に2つの診療科にかかられていて、入院中は2診療科分まとめて一人の医師が処方し、退院後はまた2科に戻ると思い、医師は自分の担当する1診療科分のみ処方し、漏れてしまうパターンです。入院前の服薬状況の聴き取り、サマリーの確認(サマリー記載後から服薬内容が変わっている事も割とあるので注意です)、出ていない薬はどのように調達されるのかきちんと確認して対応する事が大切です。

私が特にヒヤリとしたのは一人の透析科の患者さんを二人の透析科の医師でフォローしていてそれぞれの医師が処方を出すパターンがありました。同薬効のCa拮抗薬のアダラートCRとアテレックをそれぞれの医師が処方していたり、アジルバ20mgをそれぞれの医師が処方して合計40mgにしていたりと混乱の極みでした。事情を説明して処方を統一してもらいなんとか解決しました。

イブランス錠125mgとイブランスカプセル125mgの渡し間違い

事例の詳細
イブランスカプセルが処方されたが、当薬局に在庫がないため、近隣の薬局に1部借りることになった。2カプセルを先にお渡しし、残りは後日にお渡しすることにした。次の日に借りた分を返却した際、その薬局の採用は錠剤であってカプセルではないと言われた。確認したところ、お渡ししたのは錠剤であることが判明。
背景・要因
高い薬ということやすぐに飲まないといけないと言われたことで、近隣薬局に2カプセルだけ借りることとしたが、借りてきたものにはバーコードがついてなかったため、ピッキングシステムが通らなかった。調剤者と鑑査者で一緒に確認し、患者様にお渡ししたが、剤形まで確認しなかった。
薬局における改善策
バーコードがない医薬品は名称、規格、剤形、数量等しっかりと確認をする。投薬時に薬情と照らし合わせてお渡しする
公益財団法人日本医療機能評価機構ヒヤリ・ハット事例収集事業より引用

原文のまま引用

色々と突っ込みどころの多い内容だと思います。医薬品は譲渡・譲受が基本であるはずなのに貸借をした事を普通に記載されている所がとても気になります。きちんとした譲渡・譲受証を交わしていれば相手の薬局も譲渡監査ができたと思いますが、そのあたりも適当だったと思わざるを得ません。譲渡・譲受は正直面倒な作業なので、監査の方法の前に薬局間での薬のやり取りを間違わずスムーズに出来る方法をマニュアル整備する事が先決だと思いす。

私は医薬品分譲依頼する際に医薬品のバーコードも一緒に添付して依頼書をFAXします。最初は「何これ?」という他薬局の反応でしたが、最近はバーコードで医薬品照合が出来るシステムを利用される薬局も増えてきているのでバーコードを利用しているという感想を頂く事も出てきました。

自動分包機への充填間違いが原因でそのまま患者へ交付

事例の詳細
ロキソプロフェン錠60mgサワイが分包機のカセッターに入っていたが、他の調剤でバラしたレプリントン錠を誤ってロキソプロフェンのカセッターに入れてしまった。錠数が少なくてすべてが置き換わったのではなく一部が置き換わっていたため鑑査を通ってしまい在宅患者にわたってしまった。
飲み残しが多い患者で飲み残しをチェックした際にミスが発覚した。
背景・要因
カセッターに戻す時にダブルチェックが行われない時があったこと。鑑査の時に全包刻印を見ていなかったために起きた。
薬局における改善策
カセッターへの補充時にダブルチェックを必ず行うようにした。また一包化されたものは全数刻印を見ることで再発を防ぐこととした。
公益財団法人日本医療機能評価機構ヒヤリ・ハット事例収集事業より引用
レプリントン錠100mg(先発品名:ネオドパストン配合L100)
ロキソプロフェン
ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」

原文のまま引用

報告書だけでは誤薬したのかはっきりしませんが、誤薬していればかなりの確率で副作用は出そうです。間違いに至った薬剤の画像を載せましたが、一包化の一部だけ混ざってたら見つけにくいと思います。最近の分包機はバーコードで充填処理する仕組みになっているのでこういった充填ミスの事例は減っています。

錠剤分包機はyuyamaが「バリアブル・カセット)」や「ユニバーサルカセット」といった採用医薬品の変更に柔軟な対応できる面でリードしていると思います。タカゾノにも「マルチカセット」という機能がありますが使い勝手はyuyamaが勝っていると私は感じます。

今回は調剤薬局の薬剤師目線で4例紹介させていただきました。まだまだ気を付けておきたいヒヤリ・ハットは沢山ありますのでまた紹介したいと思います。

薬局のDX化で調剤薬局機能の効率化と精度を高めよう

調剤薬局の業務の多様化する時代、医薬品の供給や調剤に人的労働の多くを裂くことが困難になってきています。現在、日本の国策であるDX化を調剤薬局でも積極的に導入して強い薬局を作っていきたいです。

薬局に関わるテクノロジーとしては

  • オンライン服薬指導
  • 電子服薬カレンダー
  • 施設向け服薬支援システム
  • 電子お薬手帳
  • 処方箋送付ツール
  • 情報提供書作成ツール
  • 窓口アンケートアプリ
  • 訪問薬剤支援システム
  • 調剤過誤防止システム
  • レジシステム
  • 医薬品マッチングアプリ(デッドストック管理)

など色々なテクノロジーが存在します。

医療業界や求人などの情報を提供するm3.comのサイトに「PHARMA TECHカオスマップ」という調剤薬局で働く人や利用する人が豊かになるITソリューションの業界マップに関する記事が公開されていました。調剤薬局はどういったIT化ができるのか勉強になったのでリンクを下に貼ってみました。無料の会員登録しないと記事全文は読めませんが、部分的に読んでみて興味があれば無料なので登録しても良いと思います。色んな電子マネーに変更可能な薬剤師限定の会員登録キャンペーンも行っているので併せてリンクを貼っています。

画像引用先:m3.com公式HP

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最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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