後発医薬品調剤体制加算の廃止議論が始まる?医療のSDGsを願う薬剤師の意見。

SDGs 薬剤/医療安全/介護診療報酬

こんにちは ねこの静六です。

2021年6月29日、財務省「2021年度予算執行調査の調査結果の概要(6月公表分)」より

後発医薬品調剤体制加算は廃止を含めた見直しを行うべきという調査結果が発表されました。

色々と突っ込みどころ満載の調査内容なので今回取り上げてみたいと思います。かなり私見が入っていますが是非読んでみてくださいね。

以下の画像が診療報酬に関わる部分の抜粋です。

引用先:財務省「2021年度予算執行調査の調査結果の概要(6月公表分)」より

詳しい調査内容は総括調査票 令和3年6月公表分(24事案)に書かれています。

では、一つずつ見ていきたいと思います。

①7割超の保険薬局が加算を取得し、減算適用はわずか0.3%にとどまる

2021年時点での後発医薬品調剤体制加算は以下の様になっています。

後発医薬品調剤体制加算の算定要件と点数(令和2年4月1日施行)
  • 後発医薬品調剤体制加算1 後発医薬品の調剤数量が75%以上 15点
  • 後発医薬品調剤体制加算2 後発医薬品の調剤数量が80%以上 22点
  • 後発医薬品調剤体制加算3 後発医薬品の調剤数量が85%以上 28点
  • 後発医薬品減算      後発医薬品の調剤数量が40%以下▲2点

2020年9月までに後発医薬品使用割合80%を達成するという政府目標に向けて調剤薬局が後発品使用促進に努力した結果が減算される薬局が少なかったという形で表れているのでは無いのでしょうか?(もちろん調剤報酬というインセンティブを得る事も目的です)

結局、政府が掲げた2020年9月時点の後発医薬品の使用割合80%に対して結果は78.3%と少し目標に届かなかった事実があります。厚労省は2021年4月27日、後発品使用促進の新目標を提示し、「23年度末」までに後発医薬品の使用割合を改めて全都道府県80%以上としています。

②後発医薬品調剤体制加算の費用対効果が見合っていない

次に費用対効果について書かれている部分を見てみます。現行制度では年間1,200億円程度の加算に対し、政府目標(全都道府県80%)に到達した場合の医療費適正化効果額の増加分は、一定の試算の下、200億円程度と見込まれ、費用対効果が見合わないと書かれています。

2020年9月の後発医薬品の使用割合78.3%を80%に押し上げられたとして200億程度の適正化効果なのかもしれません。80%-78.3%=1.7%の為に国は年間1200億円を調剤薬局に支払わなければならない様に書かれていて、今まで積み上げてきた78.3%という数値を維持するためのインセンティブは必要無いように読めてしまいます。理解して分析しているのでしょうか?

③後発医薬品使用割合と備蓄品目数が正の相関関係にない

3つめに備蓄品目数の部分について見てみます。「後発医薬品使用割合と平均備蓄品目数には正の相関関係が認めづらい状況であり、本加算の意義は後発医薬品の使用によるかかり増しの費用への対応の側面ではなく、インセンティブとしての側面が強くなっている」と書かれています。

引用先:財務省「2021年度予算執行調査の調査結果の概要(6月公表分)」より

上のグラフの通り、確かに一番加算の高い「後発医薬品調剤体制加算3が」確かに一番備蓄品目数が少なくなっています。簡単に後発医薬品使用割合と平均備蓄品目数には正の相関関係が認めづらい状況で分析していますが、私たち薬剤師からすれば「はぁ?」といった感じじゃないでしょうか?

厚生労働省は同じ成分・効能のジェネリック医薬品を沢山承認されています。品目数が増えれば当然不良在庫も増えるので薬局としては採用品目を少なくしたい事は当然です。そのために

  • オーソライズドジェネリックであるか?
  • 流通状況が安定している
  • 薬価が安い
  • メーカーのDIがしっかりしている
  • 仕入れ値が安い(これは薬局の事情)

といった事を考え抜いて後発品を厳選して採用します。そしてそのジェネリック医薬品を自信を持って患者さんに説明し、後発医薬品の使用割合の向上に努力しています。これは何も綺麗事では無く、医療費を削減しなければ調剤薬局という業種の危機になると感じているからです。こんな薄っぺらい分析に国費を使っている方が費用対効果出ていますか?

後発医薬品調剤体制加算の廃止の前に厚労省にしてもらいたい事

後発医薬品調剤体制加算の見直しは多面的な視点で診療報酬を決めていく為に必要だと思います。ただ、薬剤師からすればその際に同時に取り組んでもらいたい事があります。それは未だ続くメーカーから患者さんへの医薬品流通の滞りを無くす事です。昨年から小林化工や日医工、長生堂製薬などの不適切な製造管理による医薬品の自主回収が大量に発生しています。自主回収はメーカーが大変なのは仕方ないですが

薬局としても該当ロットの医薬品を即座に返品、必要に応じて患者への連絡回収を行い代替品を精査する必要があります。薬局業界は一切利益が発生しないこの作業を昨年からどれ程の時間をかけて行ったか・・・

医薬品卸に関しても全得意先から回収されてバラバラになったPTPシートやバラ包装の錠剤の数を、得意先毎にまたロット毎に数える必要があったりと、せっかく掘った穴に土を埋め戻す事と同じくらい無駄な作業が増えます。

厚生省には医療費を削ると同時にしっかりと医薬品業界のインフラ整備を見直していただきたいです。

医療の持続可能性を実現するためにも薬局業界もしっかりと業務の効率化が必要

今回は財務省の調査発表についてさんざんな事を書いてきましたが、薬局業界もまだまだDX化や調剤補助員の導入など変わらないといけない事ばかりです。国のIT導入補助金などを積極的に活用したいですね。医療のSDGsに薬局の存在は欠かせないと思います。

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画像引用先:m3.com公式HP

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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