医療安全情報。オランザピンの非典型的糖尿病誘発機構を解明(体重増加以外にも注意が必要)京都大学の最新研究結果より

薬剤/医療安全/介護診療報酬

こんにちは ねこの静六です。

今日は京都大学HPの最新の研究成果に掲載されていたオランザピンの糖尿病誘発の記事についてです。

調剤薬局で扱ってきたオランザピンに対する私の印象

オランザピンは精神科の処方を扱う調剤薬局では必ず置いているお薬の一つです。先発品のジプレキサはかなりの高薬価でジェネリックが発売になった当時には患者さんが支払う値段の違いに凄く驚いていらっしゃった事を記憶しています。また今はうつ症状や、認知症の周辺症状にも使われているセロクエルと比較して1日1回の投与で良い等のコンプライアンス上のメリットもありました。双極性障害におけるうつ症状に対しては最近はオランザピンでは無くセロクエルの徐放剤ビプレッソに変わる方が多くなった印象です。最近は少し改善していますがビプレッソ発売当時は納入後の使用期限が4か月程度しかない商品もあって管理薬剤師泣かせでした。

オランザピンを服薬指導する時の確認事項

オランザピンは調剤報酬上ハイリスク薬扱いなので服薬指導時重大な副作用の確認が必要です。

オランザピン投薬時に確認する重大な副作用項目
  • 口渇、多飲、多尿[高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡]
  • 脱力感、倦怠感、冷汗[低血糖]
  • 筋肉痛、脱力感、赤褐色尿[横紋筋融解症]
  • 急激な発熱、脈が早くなる、筋肉のこわばり[悪性症候群]
  • 吐き気、著しい便秘、腹部の膨満[麻痺性イレウス]
  • 息切れ、胸の痛み、むくみ[肺塞栓症、深部静脈血栓症]
  • 発疹、発熱(38℃以上)、リンパ節のはれ[薬剤性過敏症症候群]
  • 肝機能数値の上昇、黄疸[肝機能障害]
  • 顔や手足の筋肉がぴくつく[痙攣]

私が服薬指導していて、高血糖(糖尿病)、肝機能数値の上昇、痙攣の副作用で中止というのを経験した事があります。また、一番頭にある副作用は

食欲増進➡体重増加➡肥満➡インスリン抵抗性低下の流れを経た糖尿病です。

しかし中には、肥満を伴わない非典型的な糖尿病も誘発されることが臨床的に報告されているそうです。

今回京都大学大学院理学研究科の研究グループはこの非典型的な糖尿病の発症メカニズムを明らかにされました。

非典型的な糖尿病の発症メカニズムとは?

オランザピンがインスリンの前駆体であるプロインスリンの適切な構造形成を妨げて分解へと導くことによって、膵β細胞からのインスリン分泌を阻害するという事だそうです。

一見難しそうですが以下の2つの図と文章でとてもわかりやすく説明されていて分子メカニズムの部分も理解出来ました。図の下のリンク先を全文読んでも10分もかかりませんし、とても面白かったです。

京都大学の最新の研究結果を知るオランザピンの非典型的糖尿病誘発機構を解明 -体重増加以外にも注意が必要より引用
京都大学の最新の研究結果を知るオランザピンの非典型的糖尿病誘発機構を解明 -体重増加以外にも注意が必要より引用

薬剤師は副作用を未然、または出来るだけ早い段階で見つける事が責務だと思います。そのためにも日々最新の情報に触れて自分をアップデートしたいですね。京都大学の研究すばらしいと思いました。みなさんに情報が広がって欲しいです。

今日もありがとうございました。



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