医療安全情報。2020年12月15日日本医療機能評価機構公開医療事故情報

薬剤/医療安全/介護診療報酬

こんにちは ねこの静六です。2020年12月15日に日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業より持参薬に関する医療安全情報が公開されました。その内容と最近の医療事故情報を併せて紹介したいと思います。事故に至った内容・経緯を知る事は新たな事故やミスを防ぐための重要な情報です。(医療事故情報収集等事業より引用し、短く編集しています)

持参薬に関する医療事故事例

事例1

患者は心房細動のためリクシアナ錠を服用していた。入院時、薬剤師は患者が持参した薬剤を持参薬鑑別書に登録したが、患者が持参していなかったリクシアナ錠に気付かなかった。医師は、持参薬鑑別書を確認して処方した。7日後、下肢に動脈血栓症を認め、リクシアナ錠の処方が漏れていたことが判明した。

事例2

患者は慢性心不全のためフロセミド錠を服用していた。入院時、医師は持参薬鑑別書による報告を待たずに薬剤を処方し、その際、フロセミド錠の処方が漏れた。その後、薬剤部での持参薬の鑑別が終了し、持参薬鑑別書が作成された。処方された薬剤が病棟に届いた際、漏れがないか誰も確認しなかった。フロセミド錠を服用しなかったことで患者の心不全が悪化した。

事例が発生した医療機関の取り組み
  • 患者が持参した薬剤だけでなく、薬歴が分かる複数の情報で現在服用中の薬剤を確認する。
  • 医師は、持参薬鑑別書を確認して処方や指示をする。
  • 多職種で持参薬の継続や中止の確認ができる仕組みを構築する。

調剤薬局においても、薬の現物と情報提供書の確認が重要になってきています。私の経験を紹介すると居宅療養管理指導の退院前カンファレンスに参加して今後の治療方針の確認などを行うが、その後に医師からもらう診療情報提供書の内容とENT処方薬や退院時カンファレンスの内容が合致していない事は時々ある。大体以下の3つのケースが多いです。

ENT処方と情報提供書の内容が異なっていた主な理由
  • 情報提供書作成後の体調変化があったが情報提供書が更新されていなかった
  • 情報提供書の記載ミス
  • 他科の薬についての記載なし(服薬続行して良いのか中止するのか文面から読み取れず)

退院患者の居宅療養管理指導を行う場合には最低でも、医師の情報提供書とENT処方内容の相違の確認と出来れば看護サマリー、ケアマネからの情報とも相違ないかの確認は行いたいです。もし納得できない点があれば病院の薬剤部に確認です。

ニュープロパッチ18mgとイクセロンパッチ18mgの薬品違いの医療事故

事例3

ニュープロパッチ18mgの処方のところ、イクセロンパッチ18mgが調剤され、監査でも気づくことができず、患者へ払い出された。患者はいつもと違うことに気が付いていたが、包装変更と思い、14日間使用し続けた。その後、体調がすぐれず、歩くことが難しくなってきたので、薬品を確認したところ薬品名が違うことに気付き、薬剤部に電話で確認し、薬剤間違いが発覚した。

ニュープロパッチが発売された時から何となく嫌な感じがしていた薬では無いでしょうか?

主な取り違え発生要因
  • 薬品戻しや薬品充填の際にニュープロパッチ18とイクセロンパッチ18を間違えて戻す
  • 単純なピッキング間違い

こういった間違いは調剤監査支援システムを使用して運用すればほとんど防ぐことが出来ます。特に外用剤は一枚ずつGS-1のバーコードが付いているのでミスが起こりにくくなっています。

ランソプラゾールの一包化調剤漏れで服薬できず十二指腸穿孔となった事例

事例4

十二指腸穿孔により入院。既往に食道静脈瘤破裂があり、EVL後で継続的に胃酸抑制剤を使用していたが入院時の持参薬確認において持参された薬剤の朝食後4日分の一包化全てにランソプラゾールOD錠15mgが入っていないことを病棟薬剤師が発見。家族に内服状況を確認し、10日分は既に内服済であったとのこと。調剤した院外調剤薬局に確認を依頼し、調剤漏れである事が発覚。

ランソプラゾールが10日間飲めなかったら十二指腸穿孔が起こってしまうような切れ味のある薬だという事を改めて知らされた感じです。あまりに簡単に使われすぎている気がしました。今は画像認証で一包化をチェックしてくれる機械もあるので凄いです。100カセット位の錠剤分包機よりも見積もりは高かったです。

一包化監査支援システム

薬剤師賠償責任保険に入っていれば安心ではない!

薬剤師の方は医療事故が起こった際に備えて薬剤師賠償責任保険に加入されていると思います。この保険では慰謝料や訴訟となった際の弁護士費用等が補償されます。ですが実際に保険を利用した事が無い方が多いと思います。この保険で重要な事は

医療事故に遭われた相手側の交渉は事故を起こした薬剤師と被害を受けた方との直接話し合いになるという事です。

責任の程度に関わらず、自分での交渉はかなりの困難を伴います。

前人の経験をしっかり自分に取り込んでスキルアップしてミスを防ぎましょう。

今日もありがとうございました。



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