肥料の知識。病害虫に負けない野菜作りの為に細胞壁を強化する!

丈夫な野菜作り肥料の知識

こんにちは ねこの静六です。

今回は丈夫な野菜作りにおける重要な要素、植物細胞の細胞壁について書きたいと思います。難しそうなタイトルですが出来るだけ簡単に記事を書きました。細胞壁の特徴を知っておくと、病害虫に強く、丈夫な野菜を作るためのアイデアが沢山生まれてきます。

植物細胞の基本構造

まず、植物細胞の基本構造について中学校理科レベルの復習をしたいと思います。

以下の図は一般的な植物細胞をかなり簡略した図です。

植物細胞の簡略図

一つの植物細胞は核を中心として柔らかくて弾力のある細胞膜が覆っています。さらにその外側を硬い細胞壁が覆うような構造となっています。植物の細胞同士はペクチンを主成分とする中葉という部分を介してくっついています。

植物は動くことが出来ませんが、硬い細胞壁を持つことで、雨風等の厳しい外部環境に耐えられるように進化しています。ちなみに人間などの動物は細胞壁は持っておらず、その分柔軟に動くことができ、厳しい外部環境を避ける様に進化しています。

細胞壁の基本構造

次は細胞壁の部分をもう少し細かく見てみます。以下は細胞壁の簡略図です。

細胞壁は主にセルロース、ペクチン、ヘミセルロースという物質から構成されています。

  • セルロースグルコース(ブドウ糖)が沢山つながった構造体で、細胞壁の中では強固な骨格の様な働きをしています。
  • ペクチンは細胞壁の隙間を埋め、接着剤の様な役割を果たしています。
  • ヘミセルロースはセルロース間を架橋し、セルロース間の間隔を適切に保つ役割があると考えられています。

丈夫な野菜を育てるにはセルロース、ペクチンの強化を意識する

ここまで植物細胞の細胞壁について書いてきました。私はこの細胞壁を強化する事を意識して野菜作りを行っています。

具体的にはセルロースとペクチンの強化を意識しています。

セルロールはグルコース(ブドウ糖)が沢山つながったもの。強化するには?

先ほども書きましたが、セルロースはグルコース(ブドウ糖)が沢山つながった構造体で細胞壁の中では強固な骨格の様な働きをしています。

グルコースが植物内に沢山あると、セルロースの原料となり、細胞壁の強化につながります。では、グルコースはどのようにして植物内に蓄えられるのでしょうか?

光合成によってグルコースは植物内で作られる

グルコースは主に光合成によって植物内で合成されます。ですので、光合成が活発に行える環境を整える事は細胞壁の強化につながります

光合成を活発に行わせるには主に以下の要素があります。

  • 二酸化炭素
  • 葉緑体 (Mg:マグネシウム)
  • 光合成(葉緑素)に不可欠な微量要素 (Fe:鉄、Mn:マンガン、Zn:亜鉛、Cu:銅、Cl:塩素)

光合成に大事な要素については以下の記事で詳しく紹介しています。

グルコースに似た特徴を持つお酢(酢酸)を活用

日照不足などで光合成があまり進まないと、セルロースの原料であるグルコースが十分に作られず、細胞壁が十分強化されないまま作物が生長してしまう事があります。そんな時にはお酢 (酢酸)を利用するのも一つのアイデアだと思います。お酢の化学式は(C₂H₄O₂) で表される有機物質で、グルコース(C₆H₁₂O₆)のちょうど1/3となっています。このグルコースと似た特徴を持つお酢を葉面散布や土壌に散布し、植物に吸収させることでセルロースを合成するためのグルコースを確保し、光合成不足を補完する働きが期待できます。

ペクチンは細胞壁と中葉に多く含まれる接着成分。石灰と結合し強固になる!

ここまではセルロールの強化について書いてきました。ここからは細胞壁の強化に欠かせない2つ目の物質、ペクチンについてです。

植物細胞の基本構造の所でペクチンは細胞壁と中葉に多く含まれている事を紹介しました。このペクチンという物質は石灰(カルシウム)と結合する事でペクチン酸カルシウムという強固な物質となります。その結果、細胞壁や中葉が強くなり、病害虫、温度、乾燥などの環境に対する抵抗性アップが期待できます。

カリカリ梅は石灰とペクチンの性質をうまく利用した加工食品
カリカリ梅

カリカリ梅という噛み応えが病みつきになってしまう加工食品がありますが、カリカリ梅を作る際には卵の殻などのカルシウムを入れて作ります。梅の実のペクチンと卵のカルシウムが結びついて、ペクチン酸カルシウムとなり、あの噛み応えのある食感を生み出しています。

セルロースやペクチンを強化するためのアイデア

ここからはセルロースやペクチンを強化するための私が実際に行っているアイデアを紹介したいと思います。

①苦土石灰1gをお酢40㎖で溶かし、それを水で100倍以上に薄め、葉面・茎・土壌に散布

石灰を酢で溶かして施用する方法は農文協の書籍でもたびたび登場するアイデアです。

私が行っている苦土石灰+お酢(食酢)を使用した方法では以下の様な効果を期待しています。

  • ペクチンを強化する(Ca:カルシウム)の補給
  • 光合成に重要な役割を果たす葉緑体の中心にある(Mg:マグネシウム)の補給
  • お酢(酢酸)による植物内のグルコースの確保

私は曇りや雨などで、光合成が進まないような状況時には週1~2回程度使用しています。使用量は土壌の乾き具合にもよりますが、100倍に希釈した場合、4㍑を2~4㎡の範囲に作物の上から直接散布しています。

②カキ殻石灰の土壌散布

私は普段作付けの際の酸度調整には苦土石灰をメインに使用していますが、時々苦土石灰の代わりや、作物の追肥時にカキ殻石灰を土壌散布する事があります。

カキ殻石灰には土壌の酸度調整以外に以下の様な効果を期待しています。

  • ペクチンを強化する(Ca:カルシウム)の補給
  • カキ殻は光合成に必要な(Fe:鉄、Mn:マンガン、Zn:亜鉛、Cu:銅)その他、豊富に含まれている微量要素の補給
注意!

カキ殻石灰は商品ごとに含有されるミネラルが微妙に異なります。微量要素補給を目的に購入される際にはよく確認して購入してくださいね。

カキ殻石灰は私は日清ガーデンメイトの物をメインで利用しています。こちらはキチン質であるカニ殻も入っているので気に入っています。微量要素として (Fe:鉄、Mn:マンガン、Zn:亜鉛)といった光合成に必要な成分の他多種の成分が含まれていますが(Cu:銅)の記載はありませんでした。 (Cu:銅 )に関しては次に紹介するZボルドーの使用で補給しているので、この商品に入っていなくても私は気になっていません。

③Zボルドーの使用

Zボルドーは無機銅殺菌剤で、糸状菌病害から細菌性病害まで幅広い病害に有効です。また、野菜類登録を有しているなど多くの作物へ適用を持っています。日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用できるので私は病気予防に一ヵ月に1回程度使用しています。

Zボルドーは殺菌剤以外に以下の様な効果を期待して私は使用しています。

Zボルドーには光合成に必要な微量要素の(Cu:銅、Zn:亜鉛)や葉緑体の中心物質である(Mg:マグネシウム)が含まれているのでその補給

注意!ZボルドーにCu、Zn、Mg補給の適用はありません。殺菌剤として使用するついでに理論上効果が期待できる為、私は使用しています。

Zボルドーの使い方は以下の記事に詳しく記載しています。興味がありましたら是非のぞいてみてくださいね。

④ようリンの利用

ようリンはニンジンやエンドウ栽培など収穫までに長期間を要する作物の緩効性リン酸肥料としてよく利用されています。ようリンの保証成分は【リン酸、Mg:マグネシウム、(SiO2:ケイ酸)、アルカリ分(Ca:カルシウム、Mg:マグネシウム)】です。その他、副成分として(Fe:鉄、Cu:銅、Zn:亜鉛、Co:コバルト、B:ホウ素)などの微量要素も含んでいます。

ようリンには以下の効果を期待して私は元肥や土づくりに使用しています

  • ペクチンを強化する(Ca:カルシウム)の補給
  • 葉緑体の中心物質(Mg:マグネシウム)の補給
  • ケイ酸の補給今回のテーマで書いてきた細胞壁と中葉の強化とはまた異なる機序なのですが、ケイ酸という植物内に吸収されるとガラス質の細胞体を形成し、作物を強化する働きを持ちます
  • ようリンの副成分に含まれる(Fe:鉄、Cu:銅、Zn:亜鉛、Mn:マンガン)を葉緑素に不可欠な微量要素として補給

注意!ようリンの副成分は保証成分ではありません。

BMようりんは、【リン酸、(SiO2):ケイ酸、Mg:マグネシウム、Ca:カルシウムの他に、B:ホウ素、Mn:マンガンも保証成分となっているので私はこちらの商品を利用しています。

色んな方法を組み合わせて細胞壁を強化する成分を補給しよう!

ここまで、光合成促進とグルコースの確保によるセルロースの強化、ペクチンと(Ca:カルシウム)の結合による強化が細胞壁の強化につながり、またその為のアイデアを紹介させていただきました。色々な方法を組み合わせたり、まずはどれか一つを試してみて丈夫な野菜作りにチャレンジしてみるのも面白いと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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