医療安全情報。医薬品の処方間違い・取り違えの注意情報が増加。事例の確認・周知に努めよう。患者さんへのインタビューも丁寧に!

薬剤/医療安全/介護診療報酬

こんにちは ねこの静六です。

Pmdaより今年は医薬品の安全使用(取り違え等)に関するお知らせが多くなっています。異なる薬が処方や調剤される事は患者さんにとって不利益でしかありません。2020年末までにPmdaに掲載された注意医薬品を薬剤師目線でまとめてみました。

グラセプター(製剤的特徴:徐放性製剤)とプログラフ(製剤的特徴:普通製剤)に関する間違い

事例の内容
【般】タクロリムスカプセル1mg 1C 朝食後 56日分処方あり

【般】タクロリムスカプセル1mg:先発品プログラフ、用法と以前からの歴よりタクロリムス徐放カプセル1mg:グラセプター の疑いがあったため疑義
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例
事例の内容
他院から近隣の医療機関に転院してきた患者の持参した処方せんにはグラセプターカプセル1mgが記載されていた。患者から聞き取りをした結果、移植歴はなくリウマチで通院していることが確認できた。また、お薬手帳を確認した結果、タクロリムスカプセル1mg「サンド」が調剤されていた。グラセプターの適応にリウマチがないことから疑義照会を行った結果、プログラフカプセル1mgに処方変更となった。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例

私の感想:両事例とも薬剤師が重大なミスの防止に大きく貢献できた良い事例だと思います!

プログラフ(普通製剤)とグラセプター(徐放性製剤)と両者は同じタクロリムス製剤であっても製剤的特徴、効能効果、用法も異なる事を十分に理解する必要あり!

ロイコンとロイコボリンに関する間違い

事例の内容
継続でロイコン錠(10)3錠分3で服用していた、処方医は増量でロイコン(10)6錠分3で出したかったが、処方入力ミスでロイコボリン(5)6錠分3で入力、患者様より薬変更すると聞いておりメトトレキサートも服用中で添付文書上問題なかったのでロイコボリン(5)6錠分3で調剤・投薬。次回受診時に処方医がロイコンロイコボリンを間違えて入力したことが発覚。患者様は、白血球が上がったと言われて特に体調変化は無し。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
リウマチにて市立HP定期受診の患者。リウマトレックスと一緒に、Rp:ロイコボリン錠5mg 1T 朝食後 日曜日服用処方。
今回から大学HPへの転院となり、処方FAX頂いたが、ロイコボリン錠の処方がなく代わりに、ロイコン錠10mg 1T 朝食後 日曜日服用となっていたため、名称間違いを疑い、疑義。ロイコボリン錠5mg 1Tの処方に変更となった
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋

私の経験:1例目の事例は私も8年ほど前に院内処方で出くわした経験がありますが、ロイコン10mg3錠分3⇒ロイコボリン5mg6錠分3に今回処方が変更されているのであれば必ず患者さんに「大切な事なので確認したいと」と言って確認し、疑義照会します。類似名称医薬品は常に間違いの可能性を意識して対応します。2例目は薬剤師が重大なミスの防止に大きく貢献できた良い事例だと思います!

タケキャブ錠とタケルダ配合錠に関する間違い

事例の内容
他科でタケキャブ服用中の患者にタケルダが処方された
背景・要因
かかりつけ薬剤師になっていたので一元管理により重複投与が判明した。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
元々ネキシウムを服用されていた患者。胃部症状改善ないため薬変更になったとのお答えあり。タケルダ配合錠が処方されるような症状訴えなし。医師に照会するとタケキャブ10mgの間違いであったことが発覚し、変更となる。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋

私の経験:配合錠が沢山発売されていますが、私も配合錠の調剤監査時はや薬情に製品名と一緒に表記される一般名をきちんと確認し、特に気を使います。薬手帳の持参や一元管理する事は大切ですね。2事例とも薬剤師がきちんと貢献出来ていて良いなと思います。

セロクエルとセロクラールに関する間違い

事例の内容
セロクラール頓服「不穏時」で処方有り。薬の薬効と用法が結びつかず、患者さんの家族に状況を確認したところ、夜中の徘徊などが出た時に服用する様に説明があったようでした。話の内容と薬が一致しなかったため疑義照会したところ「セロクエル25」の処方間違いだったことが判明。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
今までセロクラールで処方されていた患者様が今回からセロクエルに変更になった。
患者家族は薬の変更は聞いていないと仰ったため疑義紹介し、前回と同じセロクラールに変更となった。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋

私の経験:セロクラールとセロクエルの処方間違いは私も経験があります、私の場合、めまいの症状とすぐに患者さんから聴き取れたので、病院に問い合わせして間違いを但し、病院にも注意していただくようにお願いしました。

ザイティガ錠とザルティアに関する間違い

事例の内容
ザイティガ錠250mg1錠分1朝食後28日分の処方がされた。ザイティガの添付文書上、空腹時に1000mg服用が必要なため、問い合わせを行った。ザルディア錠5mg1錠分1朝食後に変更となった。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
前立腺肥大症の患者にザイティガ錠250mgが処方された。前回までザルティア錠2.5mgが処方されていたが、処方間違いではないかと疑問を持ち本人に確認したところ、本人も処方変更は聞いておらずまた前立腺癌とは言われていないとのことだった。
疑義照会したところザルティア錠2.5mgが正しい処方薬であった。プレアボイド報告である。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
Rp.ザルティア錠5mgのところ、ザイティガ錠250mgを調剤・監査済み。
別の薬剤師が投薬時に誤りを発見した。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋

私の経験:ザイティガが発売された頃から指摘されてきた注意事項です。かなり周知されているように感じましたが今年に入ってもヒヤリ・ハットの報告が上がっています。用法・用量が異なる薬剤なので、名称だけでなく、薬学的な判断、患者さんへのインタビューをしっかりと行う事を周知した経験があります。

ノルバスクとノルバデックスに関する間違い

事例の内容
一般名タモキシフェン錠が処方されていたが、実際は一般名アムロジピン口腔内崩壊錠だった。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
いつもノルバデックス10mgの処方が出ている患者様にノルバスクOD5mgが処方されていた為、疑義照会。
ノルバデックスの間違いと判明
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋
事例の内容
処方箋をもって来局。今回より病院を変えたと。しかし、内容は変わってないはずと。いつもは、ノルバスク10mgで処方箋に記載されているが、ノルバデックスと記載されていたため、電話で確認したところ、病院側も入力間違いに気が付いたが、初診の患者であったのでどこの薬局かわからず困っていたとのことで、正しいノルバスクで処方を確認し、患者には問題なく薬を交付した。
出典 ︓⽇本医療機能評価機構(医療事故情報収集等事業)医療事故情報事例より一部抜粋

私の経験:薬剤師として働きだした頃からこの間違いについては知っていたのですが、18年近く経った今でもまだ間違いがある事に残念な気持ちになります。薬剤師の世界では有名な事例であっても病院の医事・医科ではあまり情報共有出来ていなかったのではないかと思います。

追記:電子カルテでは先発品名で処方入力しても処方箋印刷は一般名表記する事が出来る!

この内容は私が電子カルテ導入の薬局責任者をしていた時の経験ですが、一般名処方箋を発行する際、電子カルテでの処方入力は、先発品名で電子カルテに処方入力しても一般名処方に変換して処方箋を発行する事が可能です。これは先発品で薬を覚えている医師にとってはとても便利なのですが、この便利さゆえに医師はノルバスクとノルバデックスの類似名を間違って入力し、処方箋上ではアムロジピンとタモキシフェンといった全く異なる一般名の薬品間違いが起こる事があります。

こういった背景も知っているのと知らないのでは注意力が異なると思います。

薬に関する安全情報は積極的に薬剤師が発信しよう!

厚労省やPmdaが以前からずっと注意喚起しているにもかかわらず、まだ同じようなヒヤリ・ハットがなくなりません。これには薬剤師がDI情報をきちんと知る事はもちろんですが、その情報をよりわかりやすく、事務・医師・看護師などの多職種へ周知する事、また間違いが起こらないようにマネジメントする事が薬剤師の責務だと思います。是非積極的に情報発信して薬剤師の医療人としてのレベルアップしたいですね!

今日もありがとうございました。

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