コロマイト乳剤。放線菌が出す天然物由来の有効成分がハダニに高い防除効果を発揮。

コロマイト乳剤 農薬の知識

こんにちは ねこの静六です。

今回はコロマイト乳剤と言う殺ダニ剤についてハダニの特徴などと一緒に紹介したいと思います。

近年の日本では熱帯化と共に、ハダニが発生する期間もとても長くなっている印象があります。私はツルバラやパンジー、セリ科の野菜でハダニの被害によく遭っています。コロマイト乳剤を使用してからとても楽に対処できるようになりました。

ハダニの特徴

ハダニの特徴

被害作物 ウリ科(メロン、マクワウリ、キュウリ)
ナス科(トマト、ナス)
セリ科(ミツバ、パセリ、当帰とうき
マメ科(エンドウ、インゲン、エダマメ)
スミレ科(パンジー、ビオラ)
バラ科(イチゴ)
ツツジ科、リンドウ科
その他野菜、花木、庭木、果樹等、多数の植物が被害対象となる        
形態成虫は体長0.5㎜程度の細長い虫体(肉眼でも確認可能)
体色は黄色、灰褐色~黒色系

種類はかなり多く70種類ほど有名なハダニを下記にあげてみました。
ナミハダニ
カンザワハダニ
ミカンハダニ
リンゴハダニ
生態高温・乾燥を好み、葉裏に寄生して汁を吸う

発生時期は3月~11月頃(特に7月~9月)

卵→幼虫→成虫と不完全変態(早ければ10日で卵➡成虫になる)

雌は1日に数個~10個程度の卵を産み、一生で100個程度の卵を産む
被害葉の裏から汁を吸われ葉裏から白くカサカサになる
被害のあった部分は葉緑体が無くなり、光合成が出来なくなる
その他特徴 猛暑や殺虫剤の使用過多によってライバルとなる昆虫が
極端に減ってしまうと爆発的に増殖する事がある。


ハダニはクモの様に糸を出す。数が増えると植物体が糸に包まれます。
(植物に霧吹きすると糸がとても見えやすくなります)
ハダニはコロニーが大きくなりすぎると糸を飛ばして移動するそうです。

ハダニの被害の実際

私が経験したハダニ被害の画像をいくつか紹介したいと思います。

ハダニの被害
撮影日2021年8月10日 シカクマメの葉ハダニの被害で葉が茶色くカサカサになっています。
ハダニの被害
撮影日2021年8月10日 シカクマメの葉裏です。黒い点はハダニの成虫や卵・糞です。白っぽい粉みたいなのは脱皮した殻やハダニが吐き出す糸です。水のスプレー散布や、アーリーセーフなどで対処しきれなくなったのでこの後コロマイト乳剤を使用しました。
ハダニは昆虫じゃない?

ハダニはクモと同じく頭と胸から8本の足が出ている「節足動物」に分類され、「昆虫」(頭・胸・腹に分かれ、胸から6本の足が出ている)には属しません。

ハダニ
撮影日2021年8月23日 庭のオキザリスの花に付いていたカンザワハダニです。左に成虫体と脱皮した皮が見えます。赤い玉は卵です。真ん中には脱皮途中の幼虫がいます。
ハダニには殺ダニ剤の使用を

ハダニは昆虫と分類が異なる事を紹介しました。生物の分類が異なると効果のある農薬も変わってきます。きちんと理解せずにハダニに効果の無い殺虫農薬を使用する事でハダニだけが爆発的に増える事がよくあります。しっかりと効果のある薬剤を使用する事が大切です。

コロマイト乳剤は北海道の土壌から発見された生物由来の農薬成分

コロマイト乳剤
付属のスポイトで計量して水で希釈するだけなので調整はとても簡単です。

ここからはコロマイト乳剤について紹介したいと思います。コロマイト乳剤の有効成分ミルべクチンは北海道の土壌から採取された放線菌が出す代謝物として発見されました。天然物由来の成分ですが、ハダニに対する効果はとても優れています。私も今までハダニにかなり悩まされていましたが、コロマイト乳剤を知ってからとても対処が楽になりました。ハダニ対策には必ず備えておきたい薬剤です。


コロマイト乳剤の薬剤的特徴

有効成分          ミルベメクチン1.0%乳剤               
性状淡黄色澄明可乳化油状液体
安全データ三井化学アグロ株式会社の製品安全データシート
殺虫剤の系統             グルタミン酸作動性塩素イオンチャネルアロステリックモジュレーター
作用機序に興味のある方はリンク先の論文を参考にされてください。➡「殺ダニ剤ミルベメクチンの開発」
使用方法 規定の希釈倍数に水で薄めて薬液を調整
浸透移行性がない薬剤なので、すべての葉の表裏に十分薬液がかかるよう、丁寧に散布する。
その他特徴幅広い害虫に効果がある
ハダニを始めとしたダニ類以外にもコナジラミ、ハモグリバエに対しても適用がある

速効性が高く 卵~成虫まで効果がある
私の使用経験ですが、散布した翌日にはハダニが全滅と言ってよいほど駆除出来ています

有機栽培で使用可能
有効成分であるミルベメクチンは微生物が生産する天然物なので、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」において、化学合成農薬にはカウントされません。ただし、地方自治体が独自に定める農薬使用基準ではカウントされる場合がありますので、必ず地方自治体の関係機関に確認しましょう。

適用作物が多い
ハダニの被害に遭いそうな果物・野菜に対してコロマイト乳剤はとても広く適用を持っています。
使用前には適用作物・使用時期を確認しましょう。

コロマイト乳剤の適用作物➡三井化学アグロ株式会社のコロマイト乳剤製品情報
2021年8月24日現在

私のコロマイト乳剤の使い方

ハダニは水で洗い流したり、油や界面活性剤の様な成分で気門を封鎖し、窒息させることである程度防除する事も出来ます。また、一つの薬剤だけでハダニに対応するとその薬剤に抵抗性を持ってしまう恐れがあるので、薬剤をローテーションさせる事が効果的とされています。

私はまず以下の1.2の手順でハダニに対処を試み、それでもハダニを防除出来なかった場合にはコロマイト乳剤を使用しています。

  1. 散水時にミストやシャワーにして葉裏のハダニを水で洗い流す
  2. アーリーセーフ(脂肪酸トリグリセリド)やサンヨール乳剤(有機銅系殺菌殺虫剤)等のハダニ類の気門を封鎖し、窒息させるような薬剤を使用
  3. 先ほどの1.2の方法で対処し、ハダニの減少が見られれば1.2の方法を継続。
  4. 1.2の方法で効果があまり見られない場合には、大発生してしまう前に早めにコロマイト乳剤を使用する。コロマイト乳剤使用後はハダニの再発が無いか時々確認し、再度ハダニが発生する事があれば先ほどの1.2の対応でハダニに対処する

コロマイト乳剤はとても効果的ですが、ハダニが抵抗性を持ってしまわないようにできるだけ年1回の散布にしましょう。よく効く薬剤は大切に使いたいですね。

アーリセーフはハダニ類を始め、コナジラミ類、アブラムシ、うどんこ病などに効果のある薬剤です。虫に対しては気門を封鎖して窒息させる作用です。正直私にはよく効く薬剤と言う印象はありませんが

  • 適用作物が非常に多い
  • 使用回数に制限が無い
  • オーガニック栽培でも使用できる

といった点は使い使いやすくて良いなと思っています。

サンヨールはうどんこ病・すすかび病・灰色かび病・べと病・白さび病・黒星病等に効果のある有機銅殺菌剤です。サンヨールに含まれる界面活性効果による物理的殺虫作用でハダニ類、コナジラミ類、アブラムシ等の気門を封鎖して窒息させます。適用作物が凄く多いわけではありませんが、本格的に病気対策しながら殺虫剤としても効果が期待できる所が私は気に入って使用しています。

農薬は使用方法を誤ると薬剤耐性を獲得されてしまったり、効果が十分に現れないばかりか、薬害が出てしまう事もあります。用法用量はきちんと守って使用しましょう!

野菜栽培のヒントになれば幸いです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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