家庭菜園でサトイモ栽培。土寄せと水がかなめの日本の気候に相性抜群の野菜です。

サトイモ,里芋 野菜の育て方

こんにちは ねこの静六です。

今回はサトイモの栽培について書きたいと思います。

サトイモは最近の日本の夏を象徴する猛暑とゲリラ豪雨といった熱帯地方の様な環境にも対応できる高温多湿を好む野菜です。

栽培するにあたって調べた基礎的な情報や栽培手順、使用できる農薬について書いています。そこに実際の栽培が進むにつれて記録や写真をどんどん追加していこうと思っています。

サトイモの植物としての特徴

植物としての特徴
  • 科名属名:サトイモ科サトイモ属
  • 別名:タイモ、ハタイモ
  • 原産地:東南アジア
  • 発芽適温:25℃~30℃(最低発芽温度15℃)発芽まで1ヶ月程度かかる
  • 生育適温:25℃~30℃
  • 草丈:1m以上
  • 耐寒性:弱い
  • 耐暑性:強い
  • 土壌:弱酸性(pH5.5~6.5)
  • 日照:日向・半日蔭
  • 水やり:乾燥にとても弱く、水不足になると収穫量が減る。特に夏の乾燥時期には水やりを行い乾燥に注意する
  • 植付時期:4月中旬~5月初旬まで
  • 収穫:植付けから180日~210日(10月中旬~11月中旬)
  • 連作障害:あり。4~5年空ける
  • その他:サトイモは肥料が沢山必要
  • その他:サトイモは光に当たると緑色になり味にもえぐみが出る。また、イモも肥大しないので光に当たらないように、株元への土寄せをこまめに行う

サトイモの薬膳としての特徴

薬膳としての特徴
  • 性質:平 (熱・温・平・涼・寒の5段階)
  • 体に効く場所:脾
  • 働き:胃腸・肺の働きを整える、肌の調子を整える
  • 利用目的:便秘・下痢・皮膚や髪の乾燥、胃腸の機能調節、痰や咳、喉の不調

サトイモ栽培で注意したい主な害虫・病気

サトイモは病害虫に強い野菜ですが可能性のある主な病害虫は以下の様なものがあります。

主な病害虫
  • アブラムシ
  • セスジスズメガ
  • ハスモンヨトウ
  • モザイク病
  • 黒班病
  • 乾腐病

害虫・病気に対応する薬剤

ハスモンヨトウ(ついでにセスジスズメガ対策)にゼンターリ顆粒水和剤、アブラムシ対策にはアーリーセーフ、両剤で効果が不十分だった場合の為にベニカべジフル乳剤を準備しました。害虫が出れば使用する予定です。

黒班病、乾腐病対策には土壌のコンディションを整える事で対応し、モザイク病に対しては原因害虫のアブラムシの発生に注意します。その他の病気予防にはZボルドーを用意しました。

準備した害虫用農薬

害虫用農薬
ゼンターリ顆粒水和剤 

ゼンターリ顆粒水和剤はBT剤と呼ばれる種類の農薬です。添付の説明書通りの水に溶解して使用します。BT剤は自然界にいるバチルス チューリンゲンシスという微生物が作る成分をチョウ目害虫が食べる事で毒性を発揮します。

ゼンターリ顆粒水和剤の特徴
  • 野菜類・果樹類・いも類・豆類に収穫前日まで使用可能
  • JAS法に基づく有機農産物生産にも使用できる
  • BT剤の中でも適用害虫が多い
  • 散布後、害虫が退治されるまでは時間を要しますが、食害は直ちに止まるため被害防止に役立ちます。効果はハスモンヨトウ(無降雨条件)で約1~2週間持続
  • 使用に当たっては展着剤を加用した方が良い

有機農産物生産にも使用できる農薬ですがアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、メイガなどにとてもよく効きます。

ゼンターリ顆粒水和剤はセスジスズメガに対しては適用がありませんが、ハスモンヨトウ対策で使用していれば効果が期待できると思います。


アーリーセーフ 

アーリーセーフは天然物(ヤシ油)由来の脂肪酸グリセリドが有効成分です。野菜類やハーブのハダニ、アブラムシ、コナジラミ、うどんこ病の防除使用できます。

アーリーセーフの特徴
  • 有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能です
  • 収穫前日まで使用できるので、家庭菜園での使用に便利です

アーリーセーフは薬液で害虫を溺れさすような効き方をする薬剤なので葉裏等に散布むらを生じないように丁寧に散布する必要があります。


ベニカベジフル乳剤

ベニカベジフル乳剤の特徴
  • ピレスロイド系の薬剤で成分名はペルメトリン
  • アブラムシ、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハイマダラノメイガ等に効果がある
  • 速効性と持続性があり、ヨトウムシの若令幼虫では葉の散布で1~2週間効果があると住友化学園芸のHPには書かれています
  • 説明書通り水で希釈するだけなので調整が楽コストパフォーマンスが良いです

ゼンターリ顆粒水和剤とアーリーセーフで対応が難しい場合に使用する予定です。

準備した病気用農薬

黒班病、乾腐病に対しては

  1. 連作しない
  2. 健康な種芋を準備する
  3. 土壌の乾湿の変化が大きくなりすぎないようにする

といった点に注意しますが病原菌を持ったサトイモの残骸が土壌に残っていると発症率が高くなるので連作を避け、十分に期間を開けて栽培する事が重要です。

その他の細菌・真菌による病気を想定してZボルドー水和剤を準備しました。

病気用農薬
Zボルドー水和剤

Zボルドーは銅殺菌剤で 徐々に放出される銅イオンにより、 作物を糸状菌病害や細菌性病害から保護します。また、日本農林規格(JAS)の有機農産物栽培においても使用可能。

Zボルドーについては以前記事に詳しく書きました。興味がある方は覗いてみてくださいね。

展着剤

展着剤
ダイン


植物の葉っぱにはワックス成分のようなものがついているため、単純に水分を吹きかけてもはじいてしまいます。そのため界面活性剤の入った展着剤を「展着剤の加用が望ましい」と説明書に記載されている農薬で使用します。広めの家庭菜園をする場合には農薬単体と展着剤を別々に購入した方がコストはかなり安くつきます。

農薬はよく説明書を読んで使用しましょう!

サトイモの栽培手順

サトイモの栽培手順です。栽培しながら写真や日時を更新していきたいと思います。

サトイモの栽培手順
  • 芽出し
    サトイモ,里芋
    2021年3月10日植付けしました。

    畑に直接タネイモを植え付ける事も出来るのですが、全てのタネイモで芽が出るようにするのと、初期成長を速めてイモを太く大きくする事を目的に芽出しを行う事にしました。

    • タネイモを数日間、日に干す(芽の出が良くなる)
    • 野菜の培養土を入れたポットにタネイモの丸い方を上にして地面から7cm~8cm位の深さに植えつけます。植付け時やその後の水やりは特に必要ありません。
    • ミニ温室などの暖かい場所で管理。(最低発芽温度15℃、発芽適温25℃~30℃)
    • 1ヶ月程度で発芽する。芽が5~6cm成長すれば植えつけ可能

    里芋(サトイモ)
    2021年4月7日の様子です。やっと芽が出てきました。もう少し芽が伸びたら貸農園に植えつけします
    芽出しでの失敗談

    サトイモを始めて栽培した時、水が沢山必要という知識だけでタネイモの芽出しの時期にも水をあげすぎてしまい、タネイモをいくつか腐らせてしまいました。水分管理が必要なのはサトイモの葉が沢山茂り、気温が高温になる時期である事が勉強出来ました。

  • サトイモの土づくり
    • 苗の植付け2週間前に苦土石灰120g/㎡施肥する
    • pHは5.5~6.5が目安
    • 苗の植付け1週間前に堆肥2㎏/㎡と元肥(N:K:P=8:8:8の化成肥料であれば200g/㎡)を施肥する
    • 畝づくり:畝幅60cm、高さ10cmで畝を作成

    サトイモは栽培期間が長期なので肥料は有機入りの化成肥料又はマイガーデンの様な肥料を特殊コーティングして長期間効果のある肥料を選ぶ方が良いです。

    私が有機入り化成肥料を購入する場合には有機の肥料割合には注意しています。製品によって有機肥料の割合はかなり異なるためです。出来ればアカギユーキ888の様な有機含有量を50%程度含む肥料が即効性+持続性もあって良いと思います。

    有機入り化成肥料や特殊コーティング肥料は製品によって施肥量が異なるので、外袋等の説明を読んで使用します。

  • 植えつけ
    2021年5月4日。芽が出たタネイモを貸農園に植えつけました。
    • 芽出ししたタネイモを株間50cmあけて地面から7cm~8cm位の深さに植える。
    • 植えつけた際にはたっぷりと水をあげる。
    • 乾燥防止と地温を高めるために、ビニールマルチ等で地表を覆う。
    里芋(サトイモ)
    里芋の葉。可愛らしいですよね。
  • 芽かき(わき芽の除去)
    サトイモの芽かき

    タネイモから芽が出て、その芽の基部分が親芋になります。タネイモから出る複数のわき芽をそのまま放置すると親イモがいくつも出来てしまいます。

    そのため、真ん中の一番良い芽1本以外は芽かきを行います。

    6月下旬以降の親イモから出るわき芽は取りません。このわき芽に子イモが付くためそのまま残すことが大切です。

  • 追肥と土寄せ

    サトイモは以下のタイミングで2回の追肥と3回の土寄せを行います。

    1回目:6月中旬の本葉が6~7枚の頃に追肥をして土寄せを行う。

    サトイモ
    撮影日:2021年6月18日 1回目の追肥と土寄せを行いました。

    2回目:7月の梅雨明け前に追肥と土寄せを行う。

    サトイモ
    撮影日:2021年7月10日  1回目の追肥と土寄せを行いました。

    3回目:2回目の土寄せから2〜3週間後に土寄せのみ行う。

    サトイモ
    撮影日:2021年7月26日 3回目追肥無しで土寄せを行いました。全く雨が降らない日が続くので水やりも行いました。
    追肥と土寄せで注意した事

    追肥はN:K:P=8:8:8の化成肥料を50g/㎡で行いました。

    土寄せは子イモ、孫イモが隠れるように株元にしっかりと行う事がポイントです。

    真夏の高温乾燥時期の注意点

    梅雨が終わり高温で雨が降らない日が続くと、水不足でサトイモの葉の一部が弱り、一旦弱ってしまった葉は徐々に枯れてしまいます。土壌にしっかり水分を与える事、もし葉が枯れてしまった場合はカビや細菌が付きやすいので早めに除去する事が大切です。

  • 収穫

    収穫は地上部の茎を刈り取ってイモを掘り出す。

    サトイモ
    2021年10月26日に収穫した時の画像です。3株でカゴいっぱい収穫出来ました

    10月中旬から収穫を始めて霜が降りる前に終わらせる。

  • タネイモの保存方法

    収穫したサトイモを親イモと小イモをばらさずに茎側を下にして50cmほどの深さの穴を掘り土に埋めます。土の上にはビニールシートをかけて雨水がしみ込まなうようにします。これで春まで保存できます。

イカとサトイモの煮物やイモ煮汁など、サトイモは和食には欠かせない食材ですよね!水やりが出来る環境があれば栽培難易度は低いと思います。

栽培経過や栽培のコツやなど発見した事を随時書き足していきますのでどうぞよろしくお願いします。

今日もありがとうございました。

今までに育てた菜園野菜です。是非覗いてみて下さいね!

五十音順で並び替えも出来ます。

ブログ内菜園野菜と種まき時期一覧表

リンク先に各野菜の栽培方法・病害虫について書いています。是非覗いてみて下さいね!
〈種まき・球根植付け時期は〇〉〈苗の植付け時期は🔶〉
五十音順で並び替えも出来ます
作物名1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
エンドウ〇🔶🔶
オカワカメ
オクラ〇🔶🔶
カブ(聖護院カブ)
キュウリ〇🔶〇🔶〇🔶🔶🔶
茎ブロッコリー(スティックセニョーラ)〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶〇🔶🔶🔶
コールラビ
ゴーヤ🔶🔶
サトイモ
シカクマメ(四角豆)〇🔶〇🔶
ジャガイモ
シュンギク(春菊)
ダイコン(大根)
チンゲン菜
トマト・ミニトマト〇🔶🔶
ニンジン(人参)
ネギ(九条ネギ)
パセリ
ピーマン🔶🔶🔶
ホウレン草
ミツバ
ヤマイモ(自然薯)、ムカゴ(零余子)
ラッキョウ
ルッコラ(ロケット)
ローズマリー

野菜の育て方
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